『グエムル 漢江の怪物』映画のあらすじ
ソウルの中心を南北に分けて流れる雄大な河・漢江。休日を河岸で過ごす人々が集まっていたある日、突然正体不明の巨大怪物が現れた。次々と人々が襲われるなか、河川敷の売店で店番をしていたカンドゥの愛娘・ヒョンソが怪物にさらわれてしまう。
参照:U-NEXT
制作(公開年) | 2006年 |
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上映時間 | 119分 |
監督 | ポン・ジュノ |
主演・キャスト | パク・カンドゥ:ソン・ガンホ
パク・ヒボン:ピョン・ヒボン |
主演キャスト「ソン・ガンホ」映画一覧
- 『スノーピアサー』(2013)
- 『弁護人』(2013)
- 『殺人の追憶』(2003)
- 『パラサイト 半地下の家族』(2019)
- 『非常宣言』(2022)
『グエムル 感江の怪物』で巨大怪物に襲われた娘を助けるために奮闘する父親を演じたのは、1967年1月17日生まれのソン・ガンホです。
ソン・ガンホは、韓国を代表する大御所俳優のひとりであり、1991年から舞台俳優として役者活動を始めて、『豚が井戸に落ちた日』(1996)でスクリーンデビューを果たします。『JSA』(2000)で映画祭の主演男優賞を獲得して、世界的に演技力を認められました。その後、『殺人の追憶』(2003)で初めて本作を手がけたポン・ジュノ監督とタッグを組んで以来、ポン・ジュノ監督の作品には頻繁に登場しています。安定感のある演技力で、作品ごとに全く異なる顔を見せる俳優として、今後も活躍が期待されています。
映画『グエムル 漢江の怪物』に併せて観たい映画一覧
- 『コンジアム』
- 『哭声/コクソン』
- 『殺人の追憶』
- 『オールド・ボーイ』
- 『新感染 ファイナル・エクスプレス』
『グエムル 漢江の怪物』のようなホラーを題材にした韓国映画5本を紹介します。『オールド・ボーイ』は、土屋ガロンが手がけた日本のコミックが原作となっていて、予想外でショッキングなストーリーを描いた衝撃作です。『新感染 ファイナル・エクスプレス』は、カンヌ国際映画祭に出展されて、世界的に高く評価されました。ホラー映画は賛否両論が分かれるため、評価が低くなりがちですが、韓国が制作するホラー映画は高評価を得ているものが多い印象です。
『グエムル 漢江の怪物』映画を見た感想
『グエムル 漢江の怪物』は、韓国のある川に流された有害物質によって突然変異を引き起こした怪物が人間を喰い漁る怪獣映画です。予告を見ている限り、グエムルと呼ばれる怪獣が人間たちを恐怖の底に突き落とし、大勢の命を奪うのかと思いきや、本編は意外とそこまでの凶暴さはありませんでした。
人間を丸呑みしたり、人骨だけを吐き出すようなシーンがあるため、確かに恐ろしいのですが、グエムルが人間を踏み潰したり、複数人を一緒に食い荒らすことはありません。日本には『ゴジラ』『キングコング』『ウルトラマン』など大きくて凶暴な怪獣がたびたび登場しているため、それらの作品と同じ温度感を期待すると物足りなさを感じるかもしれません。
ただし、アクションとしての見せどころに重点を置いている従来の怪獣映画に対して、『グエムル 漢江の怪物』は、社会風刺を描くための材料として怪獣が登場しています。グエムルの残虐性やダイナミックさというよりは、ストーリーを通して描かれているテーマに着目してみてください。
・実際に韓国で起こった薬品流出事件を元に描いている
『グエムル 漢江の怪物』は、もちろんフィクション映画ですが、グエムルが誕生することになる原因の薬品流出は、実際に起こった「龍山基地油流出事件」が元になっています。
龍山基地油流出事件は、2000年に韓国国内の米軍基地で霊安室副署長が死体防腐用のホルムアルデヒドを無断で流出したものです。この薬品流出によってソウル市民の多くは、健康被害を害する被害に遭いました。米軍側は幾度となく韓国国内の米軍基地で問題行動を起こしていたものの、正式に謝罪することはなく、隠蔽を続けているのが現状です。
ポン・ジュノ監督は、アメリカと韓国の圧倒的な国力の差から、アメリカが韓国の訴えに耳を貸さない強硬さ、韓国国民が募らせる不信感を描いていたようです。
・韓国映画特有のユーモアが炸裂している(※ネタバレ)
『グエムル 漢江の怪物』を手がけたポン・ジュノ監督といえば、どの作品でも貧困や環境問題など社会問題をテーマに描いています。本作でも、貧富の差や韓国とアメリカの不釣り合いな関係性をテーマに鋭く切り込みます。
社会問題を描きつつも、終始シリアスな空気感に包み込むのではなく、「こんなところで笑ってはいけないのに面白い」といったユーモアあふれる掛け合いが見られます。ヒボンがカンドゥの深刻な睡眠障害を訴える間に兄弟が眠っていたり、ヒョンソの死んだと思い込んで家族全員が大袈裟に泣いたり、ストーリーの節々で笑いを誘っているのが印象的でした。
キャラクター同士の会話でも、観客を笑わせるための絶妙な間が設けられていたり、グエムルの襲撃に怯えつつも、どこか楽観的なキャラクターたちの温度差がシュールで楽しめるでしょう。
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